労働能力喪失期間について

1.労働能力喪失期間

交通事故でケガを負い、後遺障害が残って労働能力が全部または一部喪失した場合、それを被害者の財産的な損害(逸失利益)とみて、加害者に「後遺障害逸失利益」として請求することができます。
後遺障害逸失利益を計算する要素の1つが、「労働能力喪失期間」です。後遺障害で被害者の労働能力が喪失した状態がどのくらいの期間続くのかを表しています。

2.労働能力喪失期間の計算方法

労働能力喪失期間は、原則として症状固定日から67歳に達するまでの年数をいいます。40歳で症状固定したら、残りの27年が労働能力喪失期間となります。
なぜ67歳が基準なのかというと、この基準が生まれた1975年当時、男性の平均寿命が67歳で「男女ともにその年齢までは働けるだろう」と判断されたからです。


ただし現在では平均寿命は大幅に伸び、67歳に近い年齢でも現役で働いている方も多いので、そのような方は症状固定日を基準に平均余命の二分の一を労働能力喪失期間としています。
例えば60歳の場合、平均余命は23.97年とされていますので、約12年が労働能力喪失期間となります。


この2つの基準で、後遺障害逸失利益が算定されます。
ただし後遺障害の具体的症状や被害者の職業、地位、健康状態などで異なる判断がなされる場合もあります。より詳しいことは、ぜひ弁護士にご相談ください。