【後遺障害12級】「非該当」から異議申立てで等級認定されたケース
1.相談までの流れ
Aさんは、自動二輪車を直進走行中、信号機が設置された交差点にて右折中の自動車と衝突して手部を開放骨折し、手の伸筋腱断裂や脚の脛骨近位端骨折などの傷害を負い、やむを得ず入院治療と長期通院治療をすることになりました。
Aさんは通院治療中に弊所に相談に来られました。「大怪我を負ったので適切な後遺障害が獲得できるように通院中から対策したい」ということでしたので、依頼を受任し後遺障害の等級認定手続に向けて進むこととしました。
2.交渉の経緯
Aさんは治療を続けていましたが、手関節の可動域の制限が残存してしまいました。そのため後遺障害の等級認定手続を行いましたが、結果は「非該当」と判断されてしまい、手関節の可動域制限には後遺障害が認められませんでした。
しかし弁護士は、Aさんが手関節付近が開放骨折していて、関節可動域の制限を訴えているにもかかわらず、後遺障害が認定されない結果に納得がいきませんでした。
関節可動域の後遺障害が認定されるためには、可動域が健康な側の関節可動域と比較して4分の3以下に制限されている必要があります。病院が作成した後遺障害診断書を確認する限り、傷害を負った左手の関節可動域は健康な側の右手関節の可動域の4分の3以下に制限されていました。それにもかかわらず、Aさんは非該当の判断を受けていたのです。
そこで、Aさんと打ち合わせた結果、異議申立てを行うこととしました。
また、可動域の制限の原因が事故によって負った傷害に起因することが必要ですので、その調査にもあたりました。
まず各医療機関からカルテを取り寄せて医療記録を調査しました。事故による傷害以外の原因でAさんに可動域の制限が生じている原因はなさそうでした。
Aさんのかかりつけの病院・医院の主治医とも面談を行いました。そこで医師の1人から「事故後に手術をした病院の手術方法が悪く可動域制限が残存してしまったのではないか」という意見を得ました。そこで、医師に対して質問票を郵送してその意見を記載してもらいました。
その質問票に加えて、事故態様、双方の車両の損壊状況、Aさんの負った傷害の内容、治療経過、残存した症状の内容等について弁護士の意見書を添付して異議申立てを行いました。
その結果、Aさんは手関節の可動域制限について12級6号の後遺障害を認定されました。
そのため、後遺障害が残存したことに対する慰謝料と逸失利益を請求することに成功し、後遺障害が認められなかった場合と比較して約300万円ほど賠償金額が増額しました。
3.担当弁護士から一言
本件の決め手は、事故後に手術をした病院の手術方法が悪く可動域制限が生じてしまったことと、その可動域制限が生じている医学的根拠を病院の主治医に作成をしてもらったことだと考えています。
異議申立てのために提出した資料は、医師の意見書以外は1度目の後遺障害の等級認定手続の際に提出した資料と全く同じ資料でした。
医療記録の調査、医師面談を行ったことで重要な資料を獲得することができたことが分岐点となりました。全ての交通事故事件で認定に有効な資料を獲得できるわけではありませんが、粘り強く努力したことが実を結んだ事件でした。
被害者の方は、諦めずに1度相談にいらしてください。お力になれることがあるかもしれません。
交通事故でのお悩みは、下関・宇部・周南・岩国の法律事務所、弁護士法人ONEにご相談ください。